ニデックが中国子会社の会計不正疑惑で急落——第三者委員会設置、株価は過去最大の下落

中国子会社で不適切処理の疑い

2025年9月4日、モーターメーカー世界最大手のニデック(Nidec)は、中国の子会社「ニデック・テクノモーター(Nidec Techno Motor)」において不適切な会計処理の疑いがあると発表しました。問題となったのは、2024年9月に行われた約1,000万元(約2億円)規模の販売取引に関する処理で、通常の割引や販売奨励金を超える「一時的な金銭支払い」が記録されていたとのことです。

さらに社内調査の過程で、グループ全体の財務処理に不正の可能性を示唆する文書も確認され、影響範囲が一部子会社にとどまらない可能性が浮上しました。


株価は過去最大の下落幅に

この発表を受けて、東京証券取引所でのニデック株は一時22.5%安となり、同社としては史上最大の下落幅を記録。最終的な終値も約17〜18%安で取引を終え、日経平均株価の構成銘柄で最大の下落率を示しました。
特に海外投資家の売りが集中し、わずか1日で数千億円規模の時価総額が失われる事態となりました。


第三者委員会を設置、徹底調査へ

ニデックは即座に外部の専門家を含む第三者委員会を設置し、会計処理の妥当性や内部統制体制の不備を徹底的に調査すると表明しました。同社は「早急に事実関係を明らかにし、適切な対応をとることで、投資家・顧客・取引先の信頼回復を図る」としています。


背景にガバナンスへの不安

ニデックでは、過去にも海外子会社で経営不透明さや収益計上に関する問題が指摘されており、今回の件は企業統治や内部統制の脆弱さが再び浮き彫りになった形です。アナリストの中には、「ニデックはM&Aで急拡大したが、グループ管理が追いついていない」との指摘もあります。


今後の見通し

  • 短期的影響:株価は乱高下が予想され、信用不安が拡大する可能性。
  • 中期的影響:第三者委員会の調査結果次第では、過年度決算の修正や役員責任の追及につながる懸念。
  • 長期的影響:内部統制の強化やガバナンス改善が求められ、信頼回復までに時間を要する見込み。

特に、世界的にEV(電気自動車)市場の拡大を背景に需要が高まる中で、ニデックの信用問題は**サプライチェーン全体や主要取引先(BMW、フォルクスワーゲンなど)**にも影響を及ぼす可能性があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました