【2025年総裁選】高市早苗の政策を完全解説|経済・安保・社会保障の全体像

2025年自民党総裁選に三度目の挑戦を果たした高市早苗氏。積極財政路線と安全保障重視の姿勢で知られる同氏の政策を、経済・外交・社会保障など全分野にわたって徹底解説します。


高市早苗氏のプロフィール

項目詳細
氏名高市早苗(たかいち さなえ)
出身地奈良県
現職衆議院議員(10期目)
主な経歴総務大臣、経済安全保障担当大臣
総裁選2025年9月22日告示、10月4日投開票
立候補3度目の挑戦

基本理念「日本列島を、強く豊かに」

高市氏は国の究極の使命を「国民の生命と財産」「領土・領海・領空・資源」「国家の主権と名誉」を守り抜くことと定義しています。そのために必要な6つの総合的国力を以下のように掲げています。

総合的国力の6つの柱

国力の種類内容
外交力国際社会における発言力と交渉力
防衛力国土と国民を守る軍事的能力
経済力持続的な経済成長と財政基盤
技術力先端技術の開発と実装能力
情報力情報収集・分析・サイバー防衛
人材力教育・研究・イノベーション人材

高市氏は「経済成長」がこれら全ての基盤であり、人々に「希望」を与えることが全ての出発点だと強調しています。


経済・財政政策:積極財政路線の全容

財政政策の基本方針

高市氏は明確な積極財政派として、以下の考え方を示しています。

プライマリーバランスと財政健全化

項目高市氏の立場
PB黒字化目標2025年度は達成見通し、緊縮政策には否定的
政府純負債大きくないとの認識
財政出動戦略的な財政出動を重視
長期的視点未来の納税者への恩恵も考慮

戦略的財政出動の効果

高市氏が掲げる財政出動の目的は以下の通りです。

  • リスクの最小化:様々な危機への備え
  • 先端技術の開花:イノベーション促進
  • 雇用と所得の増加:経済の好循環創出
  • 消費マインド改善:内需拡大
  • 強い経済の実現:持続的成長

金融政策への姿勢

論点高市氏の考え方
政策決定の役割分担方向性は政府、手段は日銀が決定
金利政策急激な利上げには慎重
懸念事項企業投資・住宅ローンへの影響
日銀との関係日銀の独立性を尊重しつつ政府方針を明確化

優先的に実施する経済対策

首相就任時の優先順位:

  1. 物価高対応の経済対策策定
  2. 2025年度補正予算案の年内編成・成立
  3. 国民生活の安定を最優先

消費税政策

状況対応
通常時消費税率の変更は行わない
国難レベルの経済悪化時引き下げもあり得る
基本姿勢柔軟性は残すが安易な変更は避ける

安全保障政策:5つの柱

高市氏の安全保障政策は、経済安全保障を含む包括的なアプローチが特徴です。

1. 食料安全保障の確立

施策分野具体的内容
農地活用全ての田畑をフル活用できる環境整備
産業化農林水産業・食品産業の成長産業化
植物工場世界トップクラス技術の初期投資支援
陸上養殖施設の初期投資支援強化
目標食料自給率の向上と安定供給

2. エネルギー・資源安全保障

電力供給の安定化

項目内容
供給対策特別高圧・高圧の電力を安定的に安価に供給
次世代原子力次世代革新炉の早期実装
核融合核融合炉の実用化推進
省エネ技術冷媒適用技術、光電融合技術の支援
資源開発地政学リスクに備えた国産資源開発への投資

3. 国土強靭化:令和の防災対策

現行計画新計画の方向性
令和7年度まで防災科学の知見を活用した後継計画
気候リスク管理を含めた総合対策
社会全体の迅速な復旧方針立案
二次災害回避の可能性向上

4. サイバーセキュリティ戦略

分野具体策
法整備能動的サイバー防御を可能にする法律制定
復旧体制復旧方針の策定
技術開発高度なサイバー攻撃対応技術の開発
人材育成専門人材の育成加速
偽情報対策検知・分析・評価技術の開発促進
偽情報法整備国民を守るための法制度構築

5. 健康医療安全保障

医療の国内完結体制

分野施策内容
ワクチン・医薬品原材料・生産ノウハウ・人材の国内完結体制
先端医療再生・細胞医療、遺伝子治療分野の研究開発促進
がん医療革新的がん医療の研究開発
認知症認知症治療の研究開発促進
予防医療国民皆歯科健診の完全実施
健康増進予防医療、未病、リハビリの取組推進

社会保障・少子化対策

社会保障改革の枠組み

高市氏は超党派での議論を重視しています。

提案内容
国民会議設置税・社会保険・社会保障給付を一体的に議論
超党派協議各党が参加して協議する枠組み
包括的検討個別政策ではなく全体最適を追求

「諦めない」社会の実現

高市氏は4つの「諦めない」を掲げています。

諦めない項目具体的な取組
進学経済的事情による進学断念をなくす
結婚・出産・子育て希望を実現できる環境整備
キャリア介護離職等によるキャリア断念を防ぐ
社会活動更年期・高齢期・障碍・難病でも活躍できる社会

働き方・生活支援の具体策

施策内容
在職老齢年金制度の見直しに向けた検討
ライフステージ支援各段階での支援策充実
社会制度教育活用可能な施策の周知徹底
エッセンシャルワーカー待遇改善の推進
家事支援サービス利用代金の税額控除制度検討
制度設計働く意欲を阻害しない、努力が報われる仕組み

地方創生政策

ビジョン:47都道府県どこでも豊かに

高市氏が目指す日本の姿:

  • どこに住んでいても安全に生活できる
  • 必要な医療・福祉を受けられる
  • 高度な教育を受けられる
  • 働く場所がある

地方創生の具体策(奈良県での取組を例に)

分野施策内容
立地競争力防災対策、人材力強化、交通・情報インフラ整備
地場産業観光業・商工業・農林業・内水面漁業の高付加価値化
ブランド化県産品(米・果物・野菜・茶・工芸品等)の販路開拓
教育防災・防犯・情報セキュリティ・消費者教育の充実
文化・スポーツ地域ぐるみの文化芸術活動・スポーツ振興
デジタル化教育機関のデジタル化対応力強化

憲法・皇室・外交

憲法改正

項目内容
改正の必要性技術革新、安全保障環境、社会生活の変化に対応
目標時代の要請に応えられる日本国憲法の制定

皇室典範改正

目的内容
皇統の維持天皇陛下の権威と正統性の源である皇統を守る
改正方針皇室典範の改正を推進

その他の重要課題

課題取組方針
拉致問題北朝鮮による拉致問題解決に向けた政府交渉を支援
追悼公務死された方々への感謝と追悼の継続

総合政策比較表:高市氏の特徴

政策分野高市氏の立場特徴・強調点
財政政策積極財政派PB黒字化目標に否定的、戦略的財政出動を重視
金融政策利上げ慎重派急激な金利上昇による企業投資・住宅ローンへの影響を懸念
消費税現状維持国難レベルの経済悪化時のみ引き下げを検討
エネルギー原発推進派次世代革新炉・核融合炉の早期実装を主張
食料安保積極推進派植物工場・陸上養殖への支援強化
サイバー強化推進派能動的サイバー防御の法整備を重視
医療安保国内完結派ワクチン・医薬品の国内生産体制構築
社会保障超党派協議税・社会保険・給付を一体的に議論する国民会議設置
地方創生積極推進派インフラ整備と地場産業の高付加価値化
憲法改正積極推進派時代に応える憲法制定を主張

政策実現可能性の分析

実現が期待される政策

政策理由
経済対策・補正予算自民党内での合意形成が比較的容易
サイバーセキュリティ強化超党派での支持が見込まれる
地方創生施策既存の枠組みを活用可能
医療安全保障感染症対策の経験から支持を得やすい

実現に課題がある政策

政策課題
財政拡張路線財政規律を重視する勢力との調整が必要
原発推進地元理解と安全性確保のプロセスが長期化
憲法改正国民投票を含む高いハードル、3分の2の賛成が必要
皇室典範改正皇室の伝統と現代的要請のバランスが課題

まとめ:高市早苗氏の政策の全体像

政策の3つの柱

  1. 経済成長重視:積極財政と金融緩和継続で経済のパイを拡大
  2. 総合的安全保障:食料・エネルギー・サイバー・医療を包括
  3. 希望ある未来:「諦めない」社会の実現と地方創生

他候補との差別化ポイント

項目高市氏の特徴
経済政策最も積極的な財政出動派
金融政策金融緩和継続を明確に支持
安全保障経済安全保障を含む包括的アプローチ
エネルギー原発推進の姿勢が最も明確

今後の展望

  • 投開票日:2025年10月4日
  • 衆院解散:年内の解散は否定、経済対策と国民生活安定を優先
  • 注目点:積極財政路線が党内外でどこまで支持を得られるか

高市氏は「日本列島を、強く豊かに」というビジョンのもと、経済成長を通じた総合的国力の強化を目指しています。18歳の若者も生まれたばかりの赤ちゃんも22世紀まで生きることができる世代に、日本の未来を信じてほしいという思いが政策の根底にあります。

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